新生児の鼻づまり解消法|家庭ケアと受診の目安
正直に申し上げると、赤ちゃんが「フガフガ」「ズーズー」と鼻を鳴らしはじめた夜ほど、落ち着かないものはありませんでした。
苦しそうに見えるのに、何をしてあげればいいのか分からない。
この記事は、そんな不安な夜のための「新生児の鼻づまり解消法」をまとめたものです。原因から、家庭でできるケアの手順、やってはいけないこと、そして一番大事な受診の目安まで、順番に整理していきます。
先に結論からお伝えします。新生児の鼻づまりの多くは病気ではなく、生理的なものです。母乳やミルクがしっかり飲めて、機嫌が良ければ、多くは家庭でのケアで様子を見て大丈夫だと言われています。
ただし、これはあくまで「危険なサインがないとき」の話なんですね。その線引きを、この記事でていねいにお伝えしていきます。
※この記事は小児科・耳鼻咽喉科などの公的・医師監修情報をもとに整理した一般的な情報であり、診断や治療の代わりにはなりません。心配なときは自己判断せず、小児科・かかりつけ医にご相談ください。夜間・休日は小児救急電話相談 #8000 も利用できます。

Photo: www.kaboompics.com / Pexels
なぜ新生児は鼻づまりを起こしやすいのでしょうか
まず、原因を知っておくと必要以上に慌てずにすみます。新生児が鼻づまりを起こしやすいのには、はっきりした理由があるからです。

鼻の穴・鼻腔がもともと狭い
赤ちゃんの鼻の穴は小さく、鼻の中の粘膜が気温の変化などの刺激ですぐに腫れてしまいます。だから、ほんの少しの刺激でも詰まりやすいんですね。大人と同じ感覚で「これくらいで詰まる?」と思うくらいの刺激でも、赤ちゃんには十分なのです。
生後3か月ごろまでは「鼻呼吸が中心」
ここが、新生児の鼻づまりで一番注意したいポイントです。
生まれて3か月ごろまでの赤ちゃんは、口から息をするのが上手ではなく、基本的に鼻呼吸に頼っています。
つまり、鼻がつまるととても苦しい状態になりやすいのです。大人なら口で呼吸すればしのげますが、この時期の赤ちゃんはそれが難しい。だからこそ、鼻づまりの影響が大きく出ます。
「フガフガ音=必ず詰まっている」ではない
意外に思われるかもしれませんが、フガフガという音は、必ずしも鼻が詰まっているサインではありません。
鼻腔が狭いこと、口と鼻が近いこと、胃から口へ母乳やミルクが少し逆流することなどが重なって、鼻がつまっていなくても音が出ることがあるのです。
音の大きさだけで深刻さを判断しなくてもいい、ということですね。
そのほかの誘因
- 風邪などのウイルス
- 乾燥した空気
- ほこり
- アレルギー反応(花粉・ハウスダスト)
- 固まった鼻くそ
判断の目安として、医師の共通見解はシンプルです。「母乳やミルクの飲みがよく、機嫌よく過ごしていれば、まず問題ない」。この一文を、まず心の真ん中に置いておいてください。

Photo: Burst / Pexels
家庭でできる鼻づまり解消法の手順
では、実際に家庭でできることを、手順として整理します。基本は「鼻水をやわらかくする → 出しやすくする」という流れなんですね。

1. 加湿する・温める・蒸気をあてる
まずは環境から整えます。
- 部屋の湿度を保つ。加湿器を使ったり、洗濯物を室内に干したりして乾燥を防ぐ
- お風呂や沐浴の湯気を吸わせる
- 蒸しタオルを鼻の周りに近づけて温める
乾燥を防ぐと、粘膜の腫れがやわらぎ、鼻水がさらさらになって通りやすくなります。とくにお風呂の湯気は効果的で、入浴後は鼻水がやわらかくなっているので、次の「吸引」のちょうど良いタイミングになります。
蒸しタオルを使うときは、熱すぎるタオルは避けて、人肌程度にしてください。やけどを防ぐためです。
2. 鼻吸い器で鼻水を吸う
やわらかくなった鼻水は、鼻吸い器で吸ってあげます。タイプはいくつかあります。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 口で吸うタイプ | 「ママ鼻水トッテ」など。手軽に始めやすい |
| スポイトタイプ | 少量をやさしく吸える |
| 手動タイプ | 力加減を手で調整できる |
| 電動タイプ | 一定の吸引力で吸える |
使い方のコツは、次のとおりです。
- ノズルは鼻の穴から水平方向へゆっくり入れる
- 吸引中は頭をしっかり固定する(低月齢児は横向きに抱き、手で頭を支えながら、空いた手で吸引すると安定します)
- 鼻に対してまっすぐ当て、強く押し付けない
- 一度に取り切ろうとせず、無理強いしない
そして、もし鼻血が出たら、その日は中止して、翌日から再開してください。これは大事な区切りです。
3. 生理食塩水で鼻水をほぐす
生理食塩水は、粘度のある鼻水をほぐして、鼻づまりをやわらげたり、吸引をスムーズにする助けになるとされています。
- 吸引の前に、鼻の中へ生理食塩水を垂らす、またはスプレーして、鼻水をやわらかくしてから吸う
- 吸引の後に1滴垂らしておくと、粘膜が潤って、鼻づまりの戻りを軽くできるとされています
ただ、ここは正直に付け加えておきます。生理食塩水の点鼻・洗浄が「効く」という説明は、主に製品情報やクリニックの記事によるものなんですね。新生児への具体的な手技を公的機関の資料で細かく確認できたわけではありません。ですので、やり方は小児科医や薬剤師に確認してから取り入れると安心です。

Photo: ROMAN ODINTSOV / Pexels
4. 綿棒・こよりで手前の鼻くそを取る
固まった鼻くそが手前にあるときは、湿らせたガーゼやティッシュで鼻の入り口をやさしく拭き取ります。ティッシュを細くこより状にして、鼻の入り口を軽く刺激して出す方法もあります。
ただし注意点があります。綿棒やこよりは、鼻の入り口(手前)まで。奥まで入れると粘膜を傷つけるおそれがあるので、無理をしないでください。
5. 体位を工夫する
鼻づまりで寝つけないときは、体位でも楽にしてあげられます。
- タオルやクッションで上体を少し起こすと、鼻が通りやすくなり、呼吸が楽になります
- 立て抱きにすると、少し楽になることがあります
小さな工夫ですが、夜のぐずりには効いてくれることがあります。
新生児の鼻づまりで「やってはいけないこと」
良かれと思ってやったことが、かえって負担になることもあります。ここは短くまとめます。
- 無理に強く吸い取らない — 強引な鼻吸いは、鼻の粘膜を傷つける恐れがあります
- 鼻吸い器を強く押し付けない・長時間吸い続けない
- 熱すぎる蒸しタオルを使わない(人肌程度に)
- 綿棒・こよりを鼻の奥まで入れない
- 鼻血が出たら、その日は中止する
そして、いちばん大事な原則をひとつ。
家庭でのケアは、あくまで一時的な緩和にすぎません。症状が続いたり悪化したりするときは、自己判断で対処し続けず、受診してください。
【最重要】受診の目安と危険なサイン
ここが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。落ち着いて、でもしっかり読んでいただけたらと思います。
日中に、かかりつけ・小児科へ相談を検討する目安
次のようなときは、日中のうちに相談しておくと安心です。
- 熱や咳などの症状が長引いている
- 母乳・ミルクの飲みが悪い、飲むときの息継ぎが増える、哺乳量やおしっこが減っている
- 鼻づまりで眠れないなど、日常生活に支障が出ている
- 機嫌が悪い状態が続く、鼻の中に異物やできものが見える
すぐに(時間外でも)受診すべき危険なサイン
一方で、次のサインは緊急性が高いものです。時間外でも、ためらわずに受診してください。
- 陥没呼吸 — 息を吸うたびに、鎖骨の上・肋骨の間・みぞおちがペコペコとへこむ。酸素が足りていないかもしれない危険なサインです
- 努力性呼吸・多呼吸 — 肩や胸が大きく上下する、呼吸が明らかに速い、ゼーゼー・ヒューヒューと音がする(喘鳴)
- 呻吟(しんぎん) — 息を吐くときに「うー、うー」と唸る。かなり苦しいサインです
- 無呼吸 — 呼吸が不規則に止まる。20秒以上の呼吸停止は極めて危険。短い停止でも顔色が悪くなる場合は要注意
- チアノーゼ — 唇や舌が紫色、爪の根元が青紫、顔色が青白い・灰色
- 哺乳できない — 吸う力が弱い、1回の哺乳量が普段の半分以下、水分がとれない
- ぐったり・活気低下 — 泣き声に力がなく、か細い、ぐったりしている
- 発熱を伴う、症状が急に悪化する場合も受診の対象です
とくに、鼻汁が多く息が荒い場合には注意が必要です。大阪小児科医会は「一日もしないうちに呼吸困難となって入院が必要となる」ことがある、と注意を呼びかけています。
「まだ大丈夫かな」と迷う、その気持ちはよく分かります。でも、赤ちゃんの呼吸に関しては、迷ったら早めに動くほうが安全なんですね。

迷ったときの相談窓口
受診すべきか迷うとき、とくに夜間・休日は、こどもの救急に関する公的サイトを参照するか、#8000(小児救急電話相談)に相談してください。専門の相談員が、受診の目安を一緒に考えてくれます。
背景にありうる感染症 — RSウイルス感染症
鼻水・鼻づまりの背景に、乳児で重症化しうる感染症が隠れていることがあります。その代表が、RSウイルス感染症です。
はじめは、発熱・鼻汁・咳などの軽い風邪のような症状で、通常は数日から1週間ほどで改善します。
ただ、経過には幅があります。初感染の乳幼児のうち、約70%は軽症で数日で回復する一方、約30%では咳が悪化し、喘鳴や呼吸困難が出てくると報告されています。細気管支炎や肺炎に進むと、人工呼吸管理を要することもあります。
重症化リスクが高いのは、次のような赤ちゃんです。
- 生後6か月未満の赤ちゃん
- 早産・低出生体重児
- 先天性心疾患・慢性肺疾患・ダウン症・免疫不全のある乳幼児
とくに生後1か月未満の感染は、典型的でない症状で診断が難しいことがあり、合併症として無呼吸発作・急性脳症にも注意が必要とされています。
受診の目安は、公的機関の説明でもシンプルです。「機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てず様子をみたり、かかりつけ医に相談を。ただし、呼吸が苦しそう・食事や水分摂取ができないときは受診を」。
治療に特効薬はなく、基本は酸素投与や点滴、呼吸管理といった対症療法になります。
なお予防については、新しい動きがあります。2026年4月から、妊婦へのRSウイルスワクチン接種が定期接種化され、新生児の発症・重症化予防が期待されています。ただし制度は始まったばかりなので、最新の運用は公的サイトで再確認することをおすすめします。
家庭ケアの「効果」については、両論があります
最後に、正直にお伝えしておきたいことがあります。
家庭での鼻吸引について、多くの医師監修記事は市販の鼻吸い器の使用をすすめています。一方で、大阪小児科医会は「医療機関での吸引が効果的で、市販品の効果は限定的」と、やや慎重な書き方をしているんですね。
どちらが正しい・間違いという話ではないと思います。
現実的な落としどころは、こうです。家庭ケアで楽にしてあげられる部分はしてあげる。でも、うまく取れない・症状が続くときは、無理せず受診する。
もうひとつ。「通常の生理的な鼻づまりでは、息が止まることはまず起こらない」とする医師監修情報もあります。これは基本的に安心してよい、という意味です。ただし、RSウイルスなどが背景にあるときは、無呼吸が重症のサインになりえます。
だから、「ふだんの鼻づまりは過度に心配しなくていい。でも、無呼吸や陥没呼吸などのサインがあれば別」と、切り分けて覚えておいてください。
眠れない夜に、赤ちゃんのフガフガという音を聞きながらこの記事にたどり着いた方も、いらっしゃるかもしれません。
多くの鼻づまりは、加湿と吸引、そして少しの体位の工夫で、家庭でやさしくケアできます。
けれど、いちばん頼りになるのは、マニュアルよりも「いつもと違う」というあなたの感覚だと思います。飲めているか、機嫌はどうか、呼吸は楽そうか。その小さな観察が、危険なサインに気づく一番のセンサーになるからです。
迷ったときは、どうか一人で抱え込まずに。かかりつけ医、そして #8000 が、いつでも隣にいてくれますから。
参考にした情報源
- 厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」
- 国立成育医療研究センター「RSウイルス感染症」
- 日本小児科学会「RSウイルス感染症(一般の方向け)」
- 大阪小児科医会「赤ちゃんの鼻づまり」
- 小児科オンラインジャーナル/練馬ベスタ小児科/たなか小児科アレルギー科/ユニ・チャーム ムーニー(医師監修)/にしおぎ耳鼻咽喉科クリニック/ベビースマイル
[内部リンク: 関連記事 – 新生児の発熱、何度から受診?]
[内部リンク: 関連記事 – 赤ちゃんの加湿と快適な室温の目安]
