食べ過ぎた翌朝の体重増は脂肪ではない|グリコーゲンと水分

食べ過ぎた翌朝の体重増は脂肪ではない|グリコーゲンと水分

正直に申し上げると、私も体重計の数字に一喜一憂していた時期がありました。

食べ過ぎた翌朝の体重が、1kg、ときには2kg近く増えている。あの瞬間の、胃のあたりがすっと冷たくなる感じ。ご存じの方も多いのではないでしょうか。

結論から先にお伝えします。その増えた分の大半は、体脂肪ではありません。 正体は「グリコーゲンに結合した水」と「食べ物そのものの重さ」です。しかも、日本人を対象にした実測データが、それをはっきり示しています。

私はこの記事を書く前に、よく言われる説の出典を一つずつ当たってみました。すると、いちばん広まっている説明ほど、根拠が見つからないという結果になったんです。

正直な答えが、たまたま優しい答えでもあった。それがこの記事でお伝えしたいことです。

⚠ 本記事は一般的な健康情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。持病のある方、妊娠中・授乳中の方、治療中の方、成長期のお子さんは、自己判断で食事量や食事回数を変えず、必ず医師・管理栄養士にご相談ください。

Photo: Ngân Dương / Pexels


翌朝の体重増の正体は、たった2つです

まず、いちばん大事なところから整理します。

食べ過ぎた翌朝に体重計の数字が増えているとき、その増加分を作っているのは、おおむね次の2つです。

  1. グリコーゲンと、それに結合した水
  2. 食べ物・飲み物そのものの重さ(消化管の中にある内容物)

1つめが、この記事の主役です。糖質は体内で「グリコーゲン」という形で肝臓や筋肉に貯蔵されるのですが、このとき水を一緒に抱え込みます。1992年の総説(Kreitzman ら)では、グリコーゲンは水をおよそ3〜4倍伴った状態で、カリウムとともに貯蔵されると記載されています。

2つめは、もっと単純な話です。食べたものは、消化・吸収・排泄が終わるまで、そのまま重さとして体の中にあります。ただし「それが何kgか」を示す信頼できるデータは今回見つからなかったので、ここでは数値を出しません。

つまり翌朝の数字は、体の中身が入れ替わった結果であって、体つきが変わった結果ではないんですね。

翌朝に増えた重さの中身を、グリコーゲンと結合した水・食べ物そのものの重さ・体脂肪の3ブロックに分けて示した図


日本人男性10名の実測 — 増えた0.7kgは、ほぼ全部が体水分でした

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい研究です。

2014年に日本の研究チームが発表した論文(Sagayama ら、Journal of Physiological Anthropology)は、過食で増えた体重の中身を、実際に体組成として測定しています。推論ではなく、実測です。

研究の条件

  • 対象:健康な非肥満の日本人男性10名(年齢 23.1 ± 1.6 歳、BMI 21.6 ± 1.3 kg/m²)
  • 方法:普段の食事より「1日あたり1,500 kcal 多く食べる生活」を3日間続ける(したがって3日間の合計で 4,500 kcal の余剰)
  • 期間中の活動量はほぼ一定(活動時エネルギー消費量 835 ± 261 kcal/日 → 875 ± 240 kcal/日)

条件をきちんと押さえておきたいので、くり返します。1日あたり1,500 kcal 多く食べる生活を3日続けた(合計で4,500 kcal)という研究です。1日で4,500 kcal を余分に食べた実験ではありません。1日1,500 kcalの上乗せというのは、外食や飲み会で「ちょっと食べ過ぎたな」という日に、じゅうぶん起こりうる量です。

結果

指標 3日間での変化
体重 +0.7 ± 0.5 kg(P<0.0001)
総体水分(TBW) +0.7 ± 0.4 kg(P<0.0001)
体脂肪量 有意な変化なし
除脂肪固形分 +0.2 kg(P<0.05)

増えた体重0.7kgと、増えた体水分0.7kg。数字がそのまま一致しています。

そして体脂肪量には、統計的に意味のある変化がありませんでした。著者らの結論も「活動量が普段どおりに保たれている場合、過食で増える主成分は総体水分である」というものです。

理論値と比べてみると、もっとはっきりします。3日間の合計余剰4,500 kcal が仮に全部体脂肪になったとすれば、計算上は約580gの増加になるはずでした。しかし、実測ではその体脂肪増は検出されなかったんですね。

ただし、この研究をどこまで広げて読めるか

ここは正直に書いておきます。

これは10名・3日間・若年の非肥満日本人男性という、かなり限定された条件の研究です。「食べ過ぎても太らない」ことを証明したものでは、まったくありません。

実際、非肥満の16名が8週間にわたって毎日1,000 kcal を上乗せした1999年の研究(Levine ら、Science)では、体脂肪はきちんと増えています。

ですからここで言えるのは、一つだけです。

短期間の体重の動きは、体脂肪の動きとは別物である。 それ以上でも、それ以下でもありません。

Sagayama 2014 の結果。1日+1,500 kcal を3日連続した過食で、体重+0.7kg・総体水分+0.7kg・体脂肪量は有意な変化なしを示した棒グラフ


グリコーゲンが500g増えると、体重は水込みで約2kg増えます

なぜ、体脂肪が増えていないのに数字だけが動くのか。計算してみると腑に落ちます。

1988年の研究(Acheson ら)では、ヒトのグリコーゲン貯蔵容量はおよそ15 g/kg体重とされ、飽和するまでにおおむね500gの増加を受け入れられると報告されています。⚠ ただしこれは男性わずか3名を対象にした小規模な研究で、しかも食事制限と運動でグリコーゲンを枯渇させてから、エネルギーの86%を炭水化物にした食事を7日間続けるという極端な条件でのデータです。一般化には限界があります。

そのうえで、先ほどの「水およそ3〜4倍」を掛け合わせてみます。

  • グリコーゲンが 100g 増える → 結合水が300〜400g → 体重は約400〜500g増える
  • グリコーゲンが 500g 増える → 体重は水込みで約2.0〜2.5kg増える

この時点で、体脂肪は1gも増えていません。

「一晩で2kg」の正体は、だいたいこれです。そして貯蔵されたグリコーゲンは、普段の食事と活動に戻れば使われていくものですから、数字も自然に戻っていきます。

なお「1g:3〜4g」という比は、1970年代の測定法に由来する古典的な数字で、結合水を直接測ったものではないという指摘もあります(Nutrients 2023 の総説)。ですので「およそ3〜4倍とされる」という幅のある理解でちょうどいいと思います。

グリコーゲン100gと500gが増えたときの結合水と体重増加を計算した図。体脂肪は増えていないことを示す


「グリコーゲンは2週間ほどで脂肪に変わる」の根拠を探しました

さて、ここからが本題の訂正部分です。

日本語で検索すると、必ずと言っていいほどこの説明に行き当たります。「食べたものはいったんグリコーゲンとして蓄えられ、2週間ほどかけて脂肪に変わる。だから、その間に燃やせばいい」。

私はこの説の出典を探しました。

結論を先に書きます。裏づける一次文献は、一本も見つかりませんでした。

「見つけられなかった」という話ではありません。PubMed でグリコーゲンと2週間・脂肪への変換を組み合わせたタイトル検索をかけると、該当は0件です。日本語で出てくるのは、ジムや整体・サロン系のブログ記事ばかりで、いずれも出典が示されていません。学会・行政・大学・医療機関からの記載も確認できませんでした。

数字がバラバラであること自体が、答えでした

面白いのは、その民間の記事どうしでも主張が食い違っている点です。

  • 「48時間で脂肪細胞になる」
  • 「そこからさらに約2週間」
  • 「脂肪に変わるまで1〜3日」
  • 「72時間で戻せる」

同じ現象を説明しているはずなのに、話し手ごとに数字が違う。これは、共通の一次文献が存在しないときに起こる典型的なパターンなんですね。

一次文献は、むしろ逆のことを示しています

沈黙しているのではありません。調べると、反対の所見がきちんと存在します。

2001年の過食実験(McDevitt ら)では、痩せ型女性8名・肥満女性5名に維持量+50%の食事を96時間続けました。糖質から新しく脂肪を作る働き(新生脂肪生成、DNL)は確かに2〜3倍に増えたのですが、絶対量は通常時で1日あたり最低2g、過食後でも最大10g程度にとどまりました。

一方で、同じ96時間で増えた体脂肪は平均およそ275g。つまり増えた体脂肪の大半は、糖質が時間差で変身したものではなく、食べた脂質がそのまま貯蔵されたものだということになります。

1999年の総説(Hellerstein)はもっと端的です。ヒトにおいて、追加で食べた糖質にとってDNLは「第一の行き先ではない(not the pathway of first resort)」と書かれています。糖質と脂質は別々の代謝系で調節されていて、「三大栄養素は体内で自由に相互変換される」という前提そのものが成り立たないのだそうです。

先ほどのAcheson 1988も、実は同じ方向です。あの極端な条件でようやく、糖質から相当量の脂質合成が起きた。しかもそれは猶予期間をおいてではなく、その期間の中で進行しています。2週間待ってから始まる工程は、どこにも出てきません。

だからといって「過ぎたら手遅れ」でもありません

ここは強調させてください。

「2週間の猶予がある」が誤りだとわかると、今度は「じゃあ2週間過ぎたらもう手遅れなのか」と不安になる方がいるかもしれません。

そうではないんです。

そもそも体脂肪が増えるかどうかを決めているのは、変換のタイミングではなく、エネルギー収支と食べたものの中身です。締め切りのある試験ではありません。締め切りがないということは、焦る必要もないということなんですね。

なお「食べたものが何日で体脂肪になるか」については、情報源によって見解が分かれています。日経Goodayの記事では「早くても3日〜1週間程度」とされていますが、上記のMcDevitt 2001を見るかぎり、脂質の貯蔵はもっと早い時間単位で起きていると考えられます。両者に共通しているのは「2週間の猶予などない」「翌日の体重増は体脂肪ではない」という2点で、この記事もその2点にとどめておきます。

白い布の上に、さくらんぼをのせた皿とコーヒーカップ、ミルクピッチャーが並ぶ明るい朝のテーブル

Photo: Jill Burrow / Pexels


実際に増える体脂肪は、何グラムなのか

数字で見たほうが、たぶん安心できます。

体脂肪組織1kgのエネルギーは、およそ7,000〜7,700 kcalとして計算されます(あくまで粗い近似です)。

普段2,000 kcal の方が、3,000 kcal 食べた日を考えてみます。余剰は+1,000 kcal ですね。

  • 1,000 ÷ 7,700 ≒ 約130g
  • 多く見積もって 1,000 ÷ 7,000 ≒ 約143g

仮に余った分が全部体脂肪になったとしても、130〜140g程度です。しかも実際には、食事誘発性熱産生(食べたものを処理するときに使われる熱)や、日常の活動量の増加によって消費側も上がるので、これより少なくなるのが普通です。

つまり、翌朝2kg増えていたとしても、体脂肪の増加は多くて150g程度。残りのおよそ1,850gは、水分と食べ物そのものです。

そして先ほどのSagayama 2014では、3日続けた合計4,500 kcal の余剰ですら、体脂肪の有意な増加としては検出されませんでした。

翌朝+2kgの内訳を示したドーナツグラフ。体脂肪は最大でも約150g、残り約1,850gが水分と食べ物そのもの


翌日の「長時間の絶食」と「糖質を減らすこと」を、おすすめしない理由

ここが、この記事でいちばん強くお伝えしたい部分です。

食べ過ぎた翌日の対処として、「16時間以上なにも食べない」「炭水化物を普段より大きく減らして、貯まった糖質を強制的に使い切る」という方法がよく紹介されます。

この方法は、おすすめできません。 効果の面でも、安全の面でもです。

5年間の追跡研究が示していること

2008年に発表された研究(Stice ら、Journal of Abnormal Psychology)は、思春期の女子496名を5年間、前向きに追跡したものです。ここでの「絶食」は、体重管理を目的とした24時間の食物制限と定義されています。

結果はこうでした。

絶食は、1〜5年後の反復性過食や神経性過食症(閾値・閾値下を含む)の発症を、通常の食事制限の得点よりも強く、一貫して予測した。

さらに、食事制限の得点が高い人のうち、実際に絶食までしていたのは23%だけでした。つまり絶食は、いわゆるダイエット的な制限とは質的に異なる、より極端な行動として区別されるということです。

日本の枠組みでも、断食は「不適切な代償行動」です

これは海外だけの話ではありません。

摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害全国支援センター/国立精神・神経医療研究センター)の説明では、神経性過食症は「反復する過食エピソードと、体重増加を防ぐための不適切な代償行動」がくり返される状態とされ、その代償行動として自己誘発性嘔吐・下剤や利尿剤の乱用・断食・過剰な運動が並べて挙げられています。

断食は、嘔吐や下剤の乱用と同じ列に置かれている行動なんですね。

健康情報を扱う記事が、それを「翌日の対処法」として読者にすすめるわけにはいきません。

ただし「その日のうちに反動が来る」わけではありません

ここは、正確に書いておきたいところです。

「制限すると必ずその日のうちにドカ食いする」という単純な因果は、実は支持されていません。

2024年の研究(Bartholomay ら、International Journal of Eating Disorders)は、診断済みの過食性障害の患者112名を対象に、7日間の生態学的瞬間評価(EMA)を行いました。所見は次のとおりです。

  • 食事制限は、同じ日のうちの過食を予測しなかった。
  • ある日の食事制限が過食リスクの上昇を予測したのは「翌日」についてのみであり、しかももともと食事制限の傾向が強い群に限られていた。

Stice 2008 と矛盾しているわけではありません。問うている対象も時間の尺度も違うからです。片方は「発症の長期的なリスク」、もう片方は「すでに発症している人の日々の維持要因」を見ています。

整理するなら、こうなります。絶食は長期的な発症リスク要因であり、短期の反動は一部の人において翌日以降に現れる。 ダイエット志向が強い方ほど、代償としての絶食のリスクは高いという方向は、むしろ維持されます。

生理的にも、目的が達成されません

空腹の時間が長くなると、グレリンなどの空腹に関わるホルモンが上昇します。絶食が長いほど、その上昇幅も大きくなります。その結果として、意識的な判断を上回る強い食欲が生じやすくなる。

「過食 → 罪悪感 → 絶食 → 強い空腹 → 過食」という循環が、こうして強まっていきます。

そもそもグリコーゲンは、食事を戻せばまた満たされる可逆的な貯蔵であって、燃やし尽くすべき敵ではありません。追い出す対象ではないんです。

とくに注意が必要な方へ。 糖尿病や腎疾患などで食事療法を受けている方、血糖降下薬やインスリンを使用中の方は、絶食や炭水化物の急な減量が低血糖などの危険につながります。自己判断で行わないでください。

なお、間欠的ファスティング(IF)そのものの一般的な評価と、「食べ過ぎの埋め合わせとして絶食する」ことの是非は、まったく別の問題です。この記事が否定しているのは後者です。

木の丸皿に盛られた、ごはん・焼き魚・青菜のおひたしなどの普段どおりの和食

Photo: Gu Ko / Pexels


「むくんだ感じ」と体重は、別物です

もう一つ、よく見かける説明を訂正させてください。

「昨日しょっぱいものを食べたから、水分をため込んで体重が増えた」。この説明も、実は方向が怪しいのです。

2000年に発表された研究(Heer ら)では、健康な男性32名を代謝病棟で厳密に管理し、食塩の摂取量を1日あたり50〜550 mEq の各水準に割り付けました。結果はこうです。

  • 血漿量は用量依存的に増加した(550 mEq群で +315 ± 37 mL)
  • しかし、総体水分は増えなかった。それと並行して、体重も増えなかった。

著者らの結論は、高ナトリウム摂取が引き起こすのは体水分の貯蔵ではなく、間質から血管内への相対的な体液の移動である、というものでした。

つまり塩分がしているのは、体液の総量を増やすことではなく、置き場所を変えることなんですね。

ですから「塩を抜けば体重が戻る」という発想も、根拠に乏しいことになります。むくんだ感じ(自覚症状)と、体重計の数字(総重量)は、別の話として切り分けたほうが正確です。

もちろん、食塩の摂取量そのものは日本の健康課題ではあります。令和6年(2024年)の国民健康・栄養調査(2025年12月公表)では、食塩摂取量の平均は男性10.5 g/日・女性8.9 g/日、全体平均は9.6 gで、「この12年間で最も低いものの、目標値の7 gには届いていない」と明記されています。ただしそれは血圧などの長期的な健康の文脈の話であって、翌朝の体重の話ではありません。


翌日に、本当にすべき5つのこと

では、何をすればいいのか。根拠のあるものだけを並べます。

すべきこと 根拠
① 次の食事を普段どおり食べる(欠食しない) 絶食は過食・神経性過食症の発症を予測(Stice 2008/思春期女子496名・5年前向き)。断食は摂食障害の枠組みで不適切な代償行動として明記。制限傾向が強い人では、制限の翌日に過食リスクが上がる(Bartholomay 2024/BED患者112名)
② 体重計の数字に、数日は反応しない 増加分の大半はグリコーゲン結合水と消化管内容物。日本人男性10名では3日間の過食による体重増 +0.7kg のほぼ全量が体水分だった(Sagayama 2014)
③ 座りっぱなしをやめて、日常の活動量を増やす 過食時の脂肪増加への抵抗性は、日常の活動による熱産生(NEAT)で大きく説明される(Levine 1999/16名・8週間、r = 0.77)。続報ではNEATが個人差の4分の3を説明するとされる
④ 水分は普段どおりとる(”塩抜き””水抜き”はしない) ナトリウムは総体水分・体重を増やさず、体液を移動させるだけ(Heer 2000/男性32名)。脱水を招く水分制限はむしろ有害
⑤ 睡眠を確保する 睡眠5時間は8時間に比べ、レプチンが15.5%低く、グレリンが14.9%高かった(Taheri 2004/Wisconsin Sleep Cohort 1,024名)。翌日の食欲のコントロールに直結する

こうして並べてみると、共通点が見えてきます。

どれも特別な対処ではなく、「普段に戻る」ための行動なんですね。新しく始めることは、ひとつもありません。

③については、日本の実測値も参考になります。令和6年国民健康・栄養調査では、20〜64歳の1日あたりの歩数は男性8,564歩・女性7,291歩でした。エレベーターを階段にする、一駅歩く。その程度の上乗せが、実は研究の裏づけがある数少ない行動です。

青空の下、生垣と住宅が並ぶ日本の住宅街の明るい歩道

Photo: kazuyoshi sakamoto / Pexels

炭水化物を減らす必要もありません。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(令和6年10月公表・令和7年度から適用)では、炭水化物の目標量は総エネルギーの50〜65%とされています。減らす方向ではなく、普段の範囲に戻す方向で十分なんです。

食べ過ぎた翌日にすべき5つのこと(普段どおり食べる・数日は体重を測らない・よく動く・水分は普段どおり・睡眠)と根拠研究を並べたチェックリスト

関連記事:2週間動かない時期を、停滞と呼ぶ前に


長い目で見ると、一晩の食べ過ぎはほとんど動きません

最後に、時間の尺度の話をさせてください。

2000年に New England Journal of Medicine に掲載された研究(Yanovski ら)は、成人195名を6〜8週間隔で4回測定し、ホリデーシーズンの体重変化を追跡しました。

結果は、平均 +0.37 ± 1.52 kg

著者らははっきり書いています。よく言われる「5ポンド(約2.3kg)増える」というのは誇張である、と。ただし同時に、戻りきらなかった分は成人期の体重増加に累積的に寄与する、とも指摘しています。

もう一つ。2011年に Lancet に掲載された研究(Hall ら)では、摂取量の変化に対する体重の反応は遅く、その半減期はおよそ1年とされています。

体重は、そんなに速く動く指標ではないんです。「1日の食べ過ぎで即座に体型が変わる」も、「2週間で決まる」も、どちらも時間の尺度を取り違えています。

だとすると、本当の課題は一晩の3,000 kcal ではありません。普段に戻さないまま、年単位で積み上がっていく小さな余剰のほうです。

だからこそ、翌日にすべきことは劇的な対処ではなく、普段に戻ることなのだと思います。


こんなときは、一人で抱えずに相談してください

体重や食事のことで、次のような状態が続いている場合は、専門機関に相談されることをおすすめします。

  • 食べ始めると自分では止められない感覚がある/短時間に大量に食べてしまうことがくり返される
  • 食べた後に、嘔吐・下剤や利尿剤の使用・断食・激しい運動などで「埋め合わせ」をしている
  • 体重や体型のことが1日の大半を占め、生活・仕事・学業・人間関係に支障が出ている
  • 食べたあとの罪悪感や自己嫌悪が強く、気分の落ち込みが続いている
  • 体重が短期間で大きく変動している/月経が止まった

相談先

  • 摂食障害相談ほっとライン047-710-8869火・木・金 9:00〜15:00(水曜日は現在休止中。休日・年末年始・お盆を除く)
    当事者・ご家族・学校関係者・医療福祉専門職が相談できます。摂食障害全国支援センターからの委託により、国立国府台医療センター心療内科が運営しています。 https://sessyoku-hotline.jp/
  • 摂食障害支援拠点病院(9都府県に設置):宮城県・栃木県・東京都・千葉県・富山県・石川県・福井県・静岡県・福岡県。ご本人と、ご家族・支援者からの相談を受け付けています。
  • お住まいの都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センター:受診先の相談に対応しています。
  • 摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害全国支援センター/国立精神・神経医療研究センター):https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_general/

体重計に乗って数字が増えていた朝、私はいつも、その数字を自分への評価だと思っていました。

でも数字の中身を知ってからは、少し違って見えるようになりました。あれは評価ではなく、昨日食べたものと、それが抱えた水の重さです。体つきの記録ではなく、その日の体の中身の記録なんですね。

食べ過ぎた翌日にできる最善のことは、次の食事を普段どおりに食べることでした。ずいぶん物足りない結論に聞こえるかもしれません。

けれど、研究が支持しているのはそちらのほうです。そして体重というものは、一晩ではなく、年単位でゆっくり動いていくものですから。

⚠ 本記事は一般的な健康情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。掲載したカロリーや体重の数値は目安であり、体格・活動量・年齢によって個人差があります。体重の日々の変動(その多くは水分によるもの)は正常な現象です。持病のある方、妊娠中・授乳中の方、治療中の方、成長期のお子さんは、自己判断で食事量や食事回数を変えず、必ず医師・管理栄養士にご相談ください。


参考にした情報源

  • Sagayama H, et al. Measurement of body composition in response to a short period of overfeeding. J Physiol Anthropol. 2014. — https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4237876/
  • Acheson KJ, et al. Glycogen storage capacity and de novo lipogenesis during massive carbohydrate overfeeding in man. Am J Clin Nutr. 1988;48(2):240-7. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3165600/
  • Hellerstein MK. De novo lipogenesis in humans: metabolic and regulatory aspects. Eur J Clin Nutr. 1999;53 Suppl 1:S53-65. — https://www.nature.com/articles/1600744
  • McDevitt RM, et al. De novo lipogenesis during controlled overfeeding with sucrose or glucose in lean and obese women. Am J Clin Nutr. 2001;74(6):737-46. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11722954/
  • Kreitzman SN, et al. Glycogen storage: illusions of easy weight loss, excessive weight regain, and distortions in estimates of body composition. Am J Clin Nutr. 1992;56(1 Suppl):292S-293S. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1615908/
  • Heer M, et al. High dietary sodium chloride consumption may not induce body fluid retention in humans. Am J Physiol Renal Physiol. 2000;278(4):F585-95. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10751219/
  • Stice E, et al. Fasting increases risk for onset of binge eating and bulimic pathology: a 5-year prospective study. J Abnorm Psychol. 2008;117(4):941-6. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19025239/
  • Bartholomay J, et al. Evaluating dietary restriction as a maintaining factor in binge-eating disorder. Int J Eat Disord. 2024;57(5):1172-1180. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37974447/
  • Levine JA, et al. Role of nonexercise activity thermogenesis in resistance to fat gain in humans. Science. 1999. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9880251/
  • Taheri S, et al. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 2004. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15602591/
  • Yanovski JA, et al. A prospective study of holiday weight gain. N Engl J Med. 2000;342(12):861-7. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10727591/
  • Hall KD, et al. Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet. 2011. — https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21872751/
  • Muscle Glycogen Assessment and Relationship with Body Hydration Status: A Narrative Review. Nutrients. 2023;15(1):155. — https://www.mdpi.com/2072-6643/15/1/155
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 — https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
  • 厚生労働省 令和6年 国民健康・栄養調査 結果の概要 — https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66279.html
  • 摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害全国支援センター/国立精神・神経医療研究センター) — https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_general/about/about_what.html
  • 日経Gooday(日経BP)「食べ過ぎた翌日の『体重増』は脂肪が増えてるってホント?」 — https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/15/071300026/100900016/?P=2

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