男性のサルコペニア|30代から減る筋肉と下半身の鍛え方
正直に申し上げますと、私は「筋肉が減る」のは、もっと先の話だと思っていました。
70代、80代——親世代の話だろう、と。
ですが、調べてみると、事情は違いました。筋肉量は20〜30代がピークで、その後はゆるやかに減り始める。40代以降は、なんと年に1%ほどずつ減っていくとも言われます。しかも、病気がなくても、加齢だけで自然に。
この記事では、男性のサルコペニア(筋肉が減る状態)について、原因からセルフチェック、そして下半身の筋トレまで、学会や公的機関の情報をもとに整理してみます。
はじめに(お読みください):本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。持病のある方、腎臓病などでたんぱく質制限がある方、運動に不安のある方は、自己判断せず医師・管理栄養士にご相談ください。
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サルコペニアとは? — 30代から始まる筋肉の減少
サルコペニアとは、加齢などによって骨格筋量が減り、筋力や身体機能が低下した状態のことです。日本語では「筋肉減少症」とも呼ばれます。
筋肉量は20〜30代がピークで、その後は少しずつ減っていきます。40代以降は年間約1%ずつ減るとされ、男性ではおよそ年間250〜300gの筋肉が失われる計算という試算もあります(あくまで概算です)。
そして、リスクが上がり始めるのは40代からとされています。「まだ先の話」ではなく、働き盛りの世代にとって、すでに始まっている話なんですね。

なぜ減るのか — ホルモンと活動量
原因はひとつではなく、複合的です。
主なものとして、筋衛星細胞(筋肉の修復・再生を担う細胞)の減少、運動ニューロンの減少、そして成長ホルモン・テストステロン(男性ホルモン)などの分泌低下が挙げられます。加えて、運動不足とたんぱく質摂取の不足が拍車をかけます。
逆に、筋肉を増やす方向に働くのは、体内のインスリン・テストステロン・成長ホルモン・アミノ酸、そして機械的刺激(=筋トレ)です。なかでも筋トレは、筋肉のたんぱく質合成を高める、最も強力な刺激とされています。
つまり、加齢で自然に減る力に対して、こちらから打てる手が、ちゃんとあるということです。
放っておくとどうなる — 「太りやすさ」との悪循環
筋肉が減ると、見た目だけの問題では済みません。
筋肉は、じっとしていてもエネルギーを使う組織です。ですから、こういう連鎖が起こります。
筋肉量↓ → 基礎代謝↓ → 消費エネルギー↓ → 太りやすくなる。
体脂肪(特に内臓脂肪)が増えれば、インスリン抵抗性が悪化し、2型糖尿病のリスクも上がります。さらに、下半身の筋力が落ちれば、膝や腰への負担、将来的な転倒にもつながる。「筋肉が減り、脂肪が増える」サルコペニア肥満は、とくに注意したい状態とされています。
セルフチェック — 「指輪っかテスト」と受診の目安 ⚠
気づくきっかけとして、簡単なセルフチェックがあります。
指輪っかテストです。両手の親指と人差し指で輪をつくり、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみます。
- 囲めない(指が届かない) → しっかりしている
- ちょうど囲める
- 隙間ができる → サルコペニアの可能性が高めの目安
あくまで「気づき」のためのセルフチェックです。これで疑わしければ、自己判断で放置せず、医療機関で評価を受けるのがよいとされています。

診断には、筋肉量に加えて筋力(握力)などが使われます。アジアの診断基準(AWGS)では、握力のカットオフとして65歳以上で男性28kg未満などが用いられてきました。2025年の改訂(AWGS 2025)では、身体機能(歩行速度)が診断項目から外れ、低筋肉量+低筋力で診断する方向になり、50〜64歳の握力基準(男性34kg未満)も新設されました。
数値は改訂で変わりうるので、最終的な判断は医療機関で、と考えておくのがよいと思います。
対策① たんぱく質をしっかり
筋肉の材料は、たんぱく質です。不足すれば、筋肉はつくられにくく、減りやすくなります。
目安として、サルコペニア対策では1日あたり体重1kgにつき1.2〜1.5g程度のたんぱく質が必要とされています。体重70kgの人なら、約84〜105gです。
ポイントは、1食に偏らせず、3食に分けて摂ること。肉・魚・卵・大豆・乳製品などから、こまめに。そして、筋トレと組み合わせると効果的だとされています。
ただし、腎臓病などでたんぱく質量に制限がある方は、必ず医師・管理栄養士に相談してください。ここは自己流で増やしてよい部分ではありません。

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対策② 下半身の筋トレ
そして、鍛えるなら下半身です。
理由はシンプルで、全身の大きな筋肉の多く(およそ6〜7割とされます)は下半身に集まっているからです(大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリングスなど)。数字は資料によって幅がありますが、大きな筋群が下半身に多いのは共通しています。
ですから、下半身を鍛えると、効率よく筋肉量と基礎代謝を底上げできるのです。
代表的な種目はスクワット。太もも(大腿四頭筋)、お尻(大殿筋)、裏もも(ハムストリングス)を一度に鍛えられ、姿勢の安定や基礎代謝の向上にもつながります。椅子を使った立ち座りや、かかと上げ(カーフレイズ)も、取り入れやすい運動です。
大事なのは、無理な重量や回数よりも、正しいフォームと継続。週に数回、続けられる範囲から始めるのがよいと思います。膝や腰に痛みがある方、持病のある方は、医師・専門家に相談してから。

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今日からできること(まとめ)
最後に、実践に落とし込みます。
- 「筋肉は40代から減る」と知っておく。加齢だけでも自然に減る。
- 指輪っかテストでセルフチェック。隙間ができるなら、受診を検討。
- たんぱく質を体重1kgあたり1.2〜1.5g、3食に分けて(腎臓病などがあれば医師に相談)。
- 下半身の筋トレ(スクワット等)を、正しいフォームで継続。
- 膝・腰の痛みや持病があれば、医師・専門家に相談してから。

最後に、ひとつだけ付け加えさせてください。
筋肉が毎年少しずつ減っていく、という話は、はじめて聞いたとき、正直こわく感じました。何もしなければ、確実に減っていくのですから。
ですが、裏を返せば——こちらから刺激を与えれば、その流れに抗えるということでもあります。加齢は止められませんが、下半身のひと踏ん張りで、傾きをゆるやかにすることはできる。
体重計の数字より、階段をのぼるときの脚。そのくらいの目印から、今日、スクワットをひとつ。案外、そこから始まるのだと思います。
参考にした情報源
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「サルコペニアとは/サルコペニアに対する栄養」
- 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診断基準(AWGS 2019/2025)」
- 一般社団法人 日本肥満症予防協会「サルコペニアのリスクは40代から」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「サルコペニア」/大正製薬 大正健康ナビ
※本記事は一般的な情報であり、診断ではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。
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