尿路結石の脇腹の痛み|原因と1日2Lの水分予防法
尿路結石の脇腹の痛み — 原因と、繰り返さないための予防法
正直に言いますと、私は「脇腹の激痛」と聞くまで、尿路結石を自分とは遠い病気だと思っていました。
ところが調べてみると、これは決して珍しい病気ではないのです。
尿路結石は、脇腹(側腹部)から下腹部にかけて突然の激痛を起こす、とても身近な病気です。日本人の生涯罹患率は約12%とされ、この40年で発症頻度は約3倍に増えて「国民病」とも呼ばれています。原因の多くは水分不足や食生活にあり、予防の基本もまた水分と食事にあります。
この記事では、脇腹の痛みの正体、石ができる原因、そして再発を防ぐための具体的な方法を、信頼できる情報をもとに整理しました。あわせて、見逃してはいけない緊急サインもお伝えします。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。診断・治療は必ず泌尿器科など専門医にご相談ください。症状が強い、繰り返す、血尿や発熱がある場合は、自己判断せず受診してください。
脇腹の痛みの正体 — 尿路結石とはどんな病気か
尿路結石は、腎臓から尿管、膀胱にかけての「尿の通り道」にできる石です。
腎臓の中にある間は無症状のことも多いのですが、石が尿管に落ちて詰まると事情が変わります。
典型的な最初の症状が、脇腹(側腹部)から下腹部にかけての突然の激痛です。「疝痛発作」と呼ばれ、急な腰痛や腹痛で始まり、吐き気・嘔吐・冷や汗を伴い、顔面蒼白になることも多いと報告されています。
痛みだけではありません。血尿も一般的な随伴症状で、石が膀胱の近くまで下がると、頻尿や残尿感が生じることがあります。痛む場所は石の位置によって変わっていくのが特徴です。
どんな石ができるのか
石の正体は、尿の中のミネラル物質が結晶化して固まったものです。
- シュウ酸カルシウム結石(最も多い)
- リン酸カルシウム結石
- リン酸マグネシウムアンモニウム結石(感染結石)
- 尿酸結石、シスチン結石 など
尿のpHによって主成分が変わり、最も多いのはシュウ酸カルシウム結石とされています。
なぜ石ができるのか — 原因は生活習慣にある
石ができる背景には、私たちの毎日の暮らしが深く関わっています。
罹患率・再発率が上がった最大の原因は、食生活の欧米化、つまり高たんぱく・高脂肪の食事だと考えられています。高たんぱく・高脂肪食は尿中のシュウ酸や尿酸を増やし、結晶をできやすくするからです。
主なリスク要因は、次のようなものです。
- 水分不足 — 尿が濃くなり、結晶ができやすくなる
- 塩分の多い食事
- 過剰な動物性たんぱく質 — 尿中のシュウ酸排泄量が増える
- 肥満
- シュウ酸の過剰摂取
年齢や性別にも傾向があります。男性は40〜50歳代に多く、女性は50歳以降に多いとされています。特に働き盛りの男性は、外食や濃い味付け、水分不足が重なりやすく、注意したい世代なのです。

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数字で見る尿路結石
具体的な数字を挙げておきます。
- 生涯罹患率は約12%。男性 約9.4%(約10.6人に1人)、女性 約4.1%(約24.4人に1人)
- 別の報告では、男性は7人に1人、女性は15人に1人
- 年間罹患率は人口10万人あたり約138人(男性192人、女性87人)
- この40年で発症頻度は約3倍に増加
再発の多さも、この病気の大きな特徴です。5年再発率は約50%という報告があります。一方で「5年で約20%、20年で約80%」とする報告もあり、数値には出典による幅があるのですが、いずれも「再発が非常に多い病気」という点では一致しています。
だからこそ、一度治しても油断できないのです。

脇腹の痛みを繰り返さないための予防法
ここからが本題です。再発の多い病気だからこそ、予防に意味があります。
① 水分 — 最も重要な基本
予防の柱は、まず水分です。
水分を多くとって尿量を増やすことは、結石の種類や原因を問わず予防の基本とされています。
目標は、1日の尿量を2,000ml以上にすること。そのために、1日の水分量として2,500〜3,000ml(食事以外に約2,000ml)が目安とされています。「1日2L以上の水分をとって尿量を2L以上にすると、結石の再発リスクを61%に減らせる」という報告もあります。
つまり、こまめに水を飲むという地味な習慣が、いちばん効くのです。
② 食事 — 意外なポイントがあります
食事の工夫には、少し意外な点があります。
まず、カルシウムはしっかり摂ること。石の主成分だからと控えたくなりますが、これは逆効果です。カルシウムは腸内でシュウ酸と結合し、便として排泄させる働きがあるからです。
一方で、シュウ酸を多く含む食品は控えめにします。
- ほうれん草、たけのこ、さつまいも、レタス、ブロッコリー、なす
- ピーナッツ、チョコレート など
ほうれん草などは茹でることでシュウ酸を減らせますし、カルシウムを含む食品と一緒に摂るのも有効です。
そして注目したいのが、クエン酸です。レモンなどの柑橘類、酢、梅干しに含まれるクエン酸は、結晶の形成を抑え、結石予防に有効とされています。水にレモンを絞る、といった小さな工夫が役に立つのです。

Photo: KATRIN BOLOVTSOVA / Pexels
このほか、塩分・動物性たんぱく質・脂肪の過剰摂取を避けること、プリン体を含む飲料や砂糖入りの清涼飲料を控えること、夕食から就寝までは4時間以上あけること、肥満を防ぐことも大切とされています。

③ 治療の目安(参考)
もし石ができてしまった場合の目安も、簡単に触れておきます。
直径5〜9mm以下の小さな結石は、自然に排出されることが期待できます。それ以上の大きさになると、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や、内視鏡を使った手術(TULなど)が行われます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、判断は必ず医師に委ねてください。
⚠ 見逃してはいけない緊急サイン
最後に、ひとつだけ強くお伝えしたいことがあります。
38.5℃以上の発熱を伴う脇腹の痛みは、「結石性腎盂腎炎」の危険サインです。
結石で尿が詰まると水腎症が起こり、そこに細菌感染が加わると、高熱が出て重症化(敗血症)しやすくなります。緊急の処置や手術が必要になることもあるため、直ちに医療機関(泌尿器科・救急)を受診してください。
激しい痛み、水腎症、発熱がある場合は、緊急手術になることもあると報告されています。「そのうち治るだろう」と自己判断で様子を見ることは、この場合とても危険なのです。
尿路結石は、再発が多く、油断できない病気です。
けれども、原因の多くが生活習慣にあるということは、裏を返せば、予防できる余地が大きいということでもあります。
こまめに水を飲む。カルシウムはしっかり摂り、シュウ酸を摂りすぎない。レモンを一絞り加えてみる。どれも今日から始められる、小さな習慣です。
そして、発熱を伴う激痛など、体が発する強いサインを見逃さないこと。
痛みは、体からの手紙のようなものですから。気になる症状があれば、早めに泌尿器科を訪ねてみてください。
[内部リンク: 関連記事 – 男性が気をつけたい生活習慣病の予防]
参考にした主な情報源
- 済生会「尿路結石(にょうろけっせき)とは」
- 日本泌尿器科学会ほか「尿路結石症診療ガイドライン 2013年版 第2版」
- 名古屋市立大学 腎・泌尿器科学分野「尿路結石研究グループ」
- 慶應義塾大学病院 KOMPAS、東京女子医科大学病院、旭川医科大学 泌尿器科 ほか
