内臓脂肪の落とし方|かくれ肥満とぽっこりお腹

内臓脂肪の落とし方|かくれ肥満とぽっこりお腹

内臓脂肪の落とし方|「手足は細いのにお腹だけ」かくれ肥満のはなし

正直に申し上げますと、私はずっと「太っていなければ大丈夫」だと思っていました。

体重計の数字がそれほど増えていないのだから、健康なのだろう、と。

ですが、鏡を横から見て、少し考えが変わりました。手足はそれほどでもないのに、お腹だけが前に出ている。いわゆるぽっこりお腹です。

調べてみると、これは体重や見た目だけでは測れない内臓脂肪の問題——かくれ肥満かもしれない、ということでした。この記事では、男性に多い内臓脂肪について、なぜ危険なのか、そしてどう落とすのかを、公的機関や学会の情報をもとに整理してみます。

はじめに(お読みください):本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断や治療を行うものではありません。持病のある方、急な減量を目指す方、体調に不安のある方は、自己判断せず医師・管理栄養士にご相談ください。

Photo: www.kaboompics.com / Pexels


かくれ肥満とは? — 体重より「お腹」

かくれ肥満とは、体重や見た目はやせ〜標準なのに、内臓脂肪が多い状態のことです。

体脂肪は大きく、内臓脂肪(腸のまわりなど内臓周囲につく)と皮下脂肪(皮膚の下につく)に分けられます。男性は内臓脂肪がつきやすく、「手足は細いのにお腹だけ前に出る」という、あの典型的なかたちになりやすいんですね。

見分け方の目安として、こんな話があります。

  • おへその周りをつまんで厚くつまめるなら、皮下脂肪が多め。
  • お腹は出ているのにつまみにくく、張って硬いなら、内臓脂肪型が疑われる。

もちろん、これはあくまで目安です。正確には腹部CTや体組成計で測ります。ですが、「体重は変わらないのにベルトがきつい」——そんな感覚があるなら、一度気にかけてみる価値はあると思います。

内臓脂肪と皮下脂肪の違い(つき方・落としやすさ・リスク)を対比した図解


なぜ内臓脂肪は「皮下脂肪より危険」なのか

ここが、私がいちばん知っておくべきだった点でした。

内臓脂肪が過剰にたまると、生活習慣病を引き起こす生理活性物質(アディポサイトカイン)の分泌が増え、逆に体を守る物質が減るとされています。その結果、高血圧・高血糖・脂質異常につながりやすくなる。

そして、この内臓脂肪の蓄積を土台に、複数のリスクが重なった状態がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)です。動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めると言われています。

内臓脂肪と皮下脂肪の違いを、ざっくり並べるとこうなります。

内臓脂肪 皮下脂肪
つき方 たまりやすい たまりにくい
落としやすさ 運動・食事で減りやすい いったんつくと減りにくい
リスク 生活習慣病リスクが高い 相対的に低い

つまり内臓脂肪は、「危険だけれど、対策すれば落としやすい」脂肪なのです。ここは、少し希望の持てるところだと思います。


腹囲「85cm」の意味

健診でおなじみのウエスト測定ですが、この数字には根拠があります。

メタボリックシンドロームの診断では、まず内臓脂肪の蓄積が必須条件になります。その目安が、おへその高さのウエスト周囲径で、男性85cm以上・女性90cm以上。これは、腹部CTで測った内臓脂肪面積100cm²以上に相当するとされています。

そのうえで、①血圧高値、②血糖高値、③脂質異常(中性脂肪高値/HDL低値)の3つのうち2つ以上が当てはまると、メタボと診断されます。

もちろん、ウエストが基準を超えたからといって、それだけで「病気」というわけではありません。ですが、内臓脂肪型肥満のサインとして、行動のきっかけにする価値はあると思います。

メタボの診断基準。腹囲男性85cm・女性90cmが内臓脂肪面積100cm²に相当し、+2項目で診断


落とし方① 食事 — 精製炭水化物と加糖飲料を見直す

では、どう落とすか。まずは食事です。

脂質・糖質の摂りすぎを抑え、たんぱく質・食物繊維を意識して摂る。これが土台になります。

特に見直したいのが、精製炭水化物(白い小麦製品・砂糖)や加糖飲料です。これらは血糖や中性脂肪を上げやすく、内臓脂肪の材料になりやすいとされています。菓子パン、ジュース、エナジードリンク——このあたりから減らすのが、いちばん効きやすい第一歩だと思います。

そして、現実的な目標として覚えておきたいのが、この数字です。

まず、現体重の3%減。

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、3〜6か月で現体重の3%を減らすのが第一目標とされています。わずかな減量でも、血圧・血糖・中性脂肪・肝機能の改善が報告されているそうです。体重70kgなら、まず2kgちょっと。そう考えると、少し手が届く気がしませんか。

白い皿に盛られた野菜とたんぱく質中心のヘルシーな食事。精製炭水化物を控える食事のイメージ
Photo: ROMAN ODINTSOV / Pexels


落とし方② 運動 — 有酸素と筋トレの「併用」

運動については、二つを組み合わせるのがよいとされています。

  • 有酸素運動(ウォーキング・自転車・水中歩行・踏み台昇降など)は、脂肪をエネルギーとして使い、内臓脂肪を落としやすい。運動を続けると、血中脂肪に続いて内臓脂肪が使われていきます。
  • 筋トレで筋肉を保つ・増やすと基礎代謝が上がり、太りにくい体づくりに役立ちます。

有酸素で燃やし、筋トレで代謝の土台をつくり、食事でたんぱく質・食物繊維を補う。この組み合わせが効率的だと言われています。

目安として、厚生労働省の身体活動指針では、中等度の運動を週150分前後が一つのラインとされています。いきなり頑張りすぎず、続けられる強度から始めるのがよいと思います。

明るい道をスニーカーで歩く人の足元。内臓脂肪を落とす有酸素運動のイメージ
Photo: Andrea Piacquadio / Pexels


「空腹時の有酸素が最強」は本当か ⚠

ここで、ひとつ正直にお伝えしておきたいことがあります。

「空腹時(早朝)の有酸素運動がいちばん脂肪を燃やす」——この説、とても人気があります。ですが、科学的な結論はまだ一貫しておらず、論争的なんですね。長期の減量効果では、食後の運動と大きく変わらないとする報告もあります。

より大事なのは、特定の時間帯のテクニックよりも、1日の総活動量と食事全体だと考えられています。

そして、空腹での運動には低血糖・ふらつき・パフォーマンス低下、そして持病がある人の心血管リスクという注意点があります。糖尿病・高血圧・心疾患のある方は、自己流で行わず、必ず医師に相談してください。

体型の判定も、体重の増減だけでなく、腹囲や体組成(体脂肪率・内臓脂肪レベル)、健診数値を合わせて見るのが妥当だと思います。

「空腹時有酸素が最強」への注意点。総活動量と食事が重要、低血糖・心血管リスクに注意


今日からできること(まとめ)

最後に、実践に落とし込みます。

  1. 体重より腹囲・お腹の張りを見る。「体重は同じなのにベルトがきつい」はサイン。
  2. 精製炭水化物・加糖飲料を減らす。菓子パン・ジュースを、たんぱく質・食物繊維に。
  3. まず3〜6か月で3%減量を目標に(日本肥満学会)。
  4. 有酸素+筋トレを併用。中等度の運動を週150分前後から。
  5. 「空腹時有酸素が最強」は断定しない。総量と食事が大事。持病があれば医師に相談。
  6. 気になる数値・体調は、医師・管理栄養士へ

内臓脂肪を落とす6つの習慣をまとめたチェックリストのインフォグラフィック


最後に、ひとつだけ付け加えさせてください。

内臓脂肪の話は、体重計の数字だけを見ていると、すり抜けてしまう話です。私も、たぶんそうやってすり抜けさせてきた側でした。

ですが、内臓脂肪は「危険だけれど落としやすい」脂肪でもあります。だとすれば、鏡を横から見たあの瞬間は、むしろ早く気づけた幸運だったのかもしれません。

体重計ではなく、ベルトの穴ひとつ。案外、そのくらいの目印から始めるのが、続くコツなのだと思います。


参考にした情報源

  • 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」(3%減量の目標)
  • メタボリックシンドロームの診断基準(内臓脂肪症候群診断基準検討委員会)
  • 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」
  • 国立健康・栄養研究所ほか「体脂肪・内臓脂肪・皮下脂肪」解説

※本記事は一般的な情報であり、診断ではありません。気になる症状や数値がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。

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