犬・猫の平熱は何度?測り方と発熱・熱中症の見分け方
正直に言いますと、私も自分の犬の体を触って「なんだか熱いかも」と不安になったことが何度もあります。
でも、その「熱い気がする」という人間の感覚は、あまりあてにならないんです。
犬・猫の平熱は人より高いからです。
この記事では、犬・猫の平熱の目安、正しい体温の測り方、そして発熱と熱中症の違いや危険なサインまでをまとめました。結論から申し上げると、いちばん大切なのは「その子の平熱を、日頃から知っておくこと」なんですね。
なお、体温の数値はあくまで目安です。体格・年齢・犬種/猫種で個体差があるので、異常を感じたら自己判断せず、必ず動物病院・獣医師に相談してください。

Photo: Alexandra Bilham / Pexels
犬・猫の平熱は何度?人より高いのが普通です
まず押さえておきたいのが、犬も猫も、平熱は人(約36〜37℃)より高いという事実です。
だいたいの目安はこうなります。
| 動物 | 平熱の目安 |
|---|---|
| 犬 | 約37.5〜39.2℃ |
| 猫 | 約38.0〜39.0℃ |
人より1.5〜2℃ほど高いんですね。だから「触って温かい=発熱」と人の感覚で決めつけるのは、じつは不正確なんです。
犬の平熱 — 体格や年齢で少し変わります
健康な成犬の体温の目安は、獣医師監修コンテンツで約37.5〜39.0℃とされています。MSD(メルク)獣医マニュアル系の英語資料では、犬の正常域を37.8〜39.3℃とやや広めに示しています。
体格によっても差があります。
- 小型犬:約37.8〜39.2℃
- 大型犬:約37.5〜38.6℃
大型犬のほうが、平熱がやや低めになる傾向があるんですね。
子犬は新陳代謝が活発なぶん、成犬より高めになりやすいです。活発で食欲もあれば、38℃台でも問題ないことが多いとされています。ただし、39.5℃を超えていて、ぐったり・元気がないときは、すぐに受診してください。
一方で高齢犬は、若い頃より平熱がやや低くなる傾向があります。
なお、短頭種(フレンチブルドッグ、パグなど)は体温調節が苦手で、高体温になりやすい点も覚えておきたいところです。
猫の平熱 — おおむね38℃前後が目安
一般的な成猫の平熱は、直腸温で約38.0〜39.0℃が目安です(アニコム損保・獣医監修)。獣医師監修の記事でも「約38℃」を目安とするものが多いです。
子猫は38℃台後半〜39℃台前半と、成猫よりやや高め。シニア猫は若い頃より低くなる傾向があります。
猫では、39.5℃を超えると発熱あるいは高体温の可能性があり、平熱より1℃を超えて下がると注意が必要とされています。
なぜ人より高いのでしょうか
これは、犬・猫の基礎代謝や熱産生が人と異なり、体温を保とうとする設定値(セットポイント)そのものが高いためと説明されています。
つまり体のしくみとして、はじめから人より高い温度で回っている、というわけなんですね。
だからこそ、大事なのは絶対的な数字より「その子の平熱を基準に比べること」なんです。

体温の測り方 — いちばん正確なのは直腸温です
「じゃあ、どうやって測ればいいの」と思われるかもしれません。
結論から言いますと、もっとも正確なのは直腸温(肛門での測定)です。複数の動物病院・獣医監修が、この点で一致しています。
直腸温を測るときの手順
- 電子体温計を使います。水銀体温計は破損リスクがあるので使いません。
- 先端に食用油・ワセリンなどの潤滑剤を塗ります。
- 肛門から約2〜3cm、水平にゆっくり挿入します。直腸を傷つけないよう、無理に押し込まないことが大切です。
- 尻尾の付け根を持ち上げると肛門が見えやすく、入れやすくなります。体が動かないよう、やさしく固定してあげてください。
- 衛生面が気になる場合は、先端に食品用ラップを巻く方法も紹介されています(測定後は消毒を)。
耳用体温計という選択肢もあります
ペット用の電子耳体温計は、先端を耳道に入れて数秒で測れます。ストレスが少ないのが大きなメリットなんですね。
ただし機種によって差があり、直腸温との誤差には注意が必要です。
そのほか、毛の薄い耳・肉球・お腹などを触って、冷えや熱を確かめる簡易チェックもあります。ただし「耳が熱い=発熱」とは限らないので、あくまで目安として考えてください。
測るタイミングと頻度
ここは見落としがちなのですが、運動直後・食後・排便時・興奮時は体温が上がって不正確になりやすいです。安静時に測るのが基本です。
頻度は、平熱を把握する目的なら2週間〜1カ月に1回ほど。しかも毎回同じ時間帯に測るのがコツです。体温には、朝が低く夕方4〜6時ごろが高いという日内変動があるからなんですね。

Photo: www.kaboompics.com / Pexels
体を触られることに慣れてもらうと、いざ測るときも落ち着いていられます。安静時のスキンシップのついでに、体の冷えや熱の変化にも気づきやすくなります。
発熱と熱中症は、じつは別物です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところかもしれません。
「発熱」と「熱中症=高体温症」は、同じ体温上昇でも中身がまったく違うんです。MSD獣医マニュアルも、この二つを明確に分けています。
- 発熱(fever) — 感染や炎症などで、体温の「設定値」自体が上に調整され、体がその高い温度を維持しようとする状態。いわば「調節された高体温」です。
- 高体温(熱中症=hyperthermia) — 設定値は変わらないまま、暑さや脱水で体温調節が追いつかず、体温だけが正常域を超えて上がってしまう状態。「調節されていない体温上昇」です。
つまり熱中症は「発熱」ではなく高体温症であり、原因(暑さ・湿度・脱水)も対処(速やかな冷却)も、発熱とは異なるということなんですね。
発熱とみなす温度の目安
- MSD獣医マニュアル:真の発熱の多くは39.5〜41.1℃の範囲。
- 犬の獣医師監修コンテンツ:39.5℃超で高め、40.0℃超で発熱とみなす。
- 猫:39.5℃超で発熱・高体温の可能性(アニコム損保)。
基準に幅があるのがわかると思います。ソースによって少しずつ違うんですね。だからこそ、単一の絶対的な閾値で決めつけず、その子の平熱と比べることが大切になります。
発熱の主な原因としては、犬では非感染性の炎症性疾患が最多、次いで感染症、腫瘍。猫では感染症が最多、次いで炎症性疾患、腫瘍とされています。ほかにも免疫の異常、内分泌・代謝異常、薬物・中毒などが体温を上げうるとされます。
熱中症は、進行が速いのが怖いところです
熱中症は、高い気温・湿度で体温調節が追いつかず、急激な体温上昇(40℃以上)と脱水・意識障害を起こします。進行が速く、命に関わります。
そして注意したいのが、症状が落ち着いて見えても内臓のダメージが残っている可能性があること。だから応急処置をしたあとも、必ず受診してください。

低体温 — 下がりすぎも危険です
体温は、上がりすぎだけでなく下がりすぎも危険です。
平熱を下回る状態が低体温症(hypothermia)です。目安として、平熱より1℃を超えて下がると注意とされています。そして35℃以下は命に関わる重篤な状態とされ、早急な対応が必要です。
低体温のサインには、こんなものがあります。
- 震えが止まらない
- 体(特に耳・肉球・お腹)が冷たい
- 元気がない・動かない
- 呼吸や心拍が遅くなる
- 意識がもうろうとする
- 嘔吐・下痢を伴うこともある
原因としては、寒い場所での長時間の滞在、濡れたままの放置、手術・麻酔のあと、病気やケガなど。そして子犬・子猫・高齢動物は、自力で体温を保つ力が弱いので特に注意が必要です。
危険な体温と、受診の目安
では、どのくらいの体温になったら危険なのでしょうか。整理しておきます。
高体温側の緊急ライン
- 40℃超は危険(熱中症の症状)。
- シリウス犬猫病院は40.5℃以上が続くと命に関わることがあるとします。
- MSD獣医マニュアル系では41℃以上は医療上の緊急。
表現に差はありますが、40℃を超えたら危険域という点は共通しています。
低体温側の緊急ライン
- 35℃以下は命に関わる。
そして、ここが大切なのですが、数値に達していなくてもすぐ受診すべきサインがあります。
- ぐったりしている・意識障害
- けいれん・ふらつき
- 呼吸が荒い、または浅い
- 嘔吐や下痢
- まったく食べない
熱中症は、症状が出てからできるだけ早い治療が重要です。判断に迷ったら、様子見ではなく受診する。それが結局、いちばん安全なんですね。
家庭での平熱把握 — いちばん大切なこと
最後に、この記事でずっとお伝えしてきたことを、もう一度だけ。
家庭での体温管理でいちばん意味があるのは、その子の平熱を知っておくことです。
犬・猫は不調を隠しやすい動物です。体温は、その隠れた内部の異常を早めに捉える指標になります。日頃の平熱がわかっていれば、少しの上昇・低下でも「いつもと違う」と気づけるんですね。
だから、安静時・同じ時間帯で定期的に測って、その子の平熱レンジを記録しておく。それが早期発見の第一歩になります。
環境の管理も欠かせません。夏は室温・湿度の管理と水分補給で熱中症を予防。冬は保温で低体温を予防。特に子犬・子猫・高齢・病中の子には気を配ってあげてください。
応急処置のときは、こんな点に注意します。
- 熱中症が疑われるとき → すぐ涼しい場所へ移し、体を冷やす(濡れタオル、タオルで包んだ保冷剤、水分)。そのあとも必ず受診。
- 低体温のとき → 暖かい場所へ移し、毛布などで保温。湯たんぽやカイロはタオルで包み、直接肌に当てない。急に温めるとかえって危険なので、ゆるやかに。
数字をいくつも並べてきましたが、覚えていただきたいのは、たった一つです。
体温計の数字は、あくまで「その子の平熱と比べるための道具」なんですね。
40℃を超える、35℃を下回る、けいれん・意識障害・ぐったりがある。こうしたときは、温度計とにらめっこするより、動物病院に電話するほうが早いです。
大切な家族の小さな変化に気づけるように。今日、元気なうちに一度、平熱を測ってみてはいかがでしょうか。いちばん頼りになるのは、いつもそばで見ているあなた自身の「いつもと違う」という感覚なのですから。
参考資料
- MSD(メルク)獣医マニュアル:Fever of Unknown Origin in Animals / Malignant Hyperthermia in Animals
- アニコム損保・猫との暮らし大百科(獣医監修)
- シリウス犬猫病院(動物病院公式)
- bun動物病院(監修)
- きし動物病院・ナガワ動物病院(動物病院公式)
- いぬのきもち/ねこのきもち WEB MAGAZINE(獣医師監修・ベネッセ)
※本記事の数値はすべて目安です。体格・年齢・犬種/猫種・健康状態によって個体差があります。異常を感じたときや不安があるときは、自己判断せず必ず動物病院・獣医師にご相談ください。
[内部リンク: 関連記事 – 犬・猫の熱中症対策と応急処置]
