物忘れと認知症の違いと無料検診の活用法

物忘れと認知症の違いと無料検診の活用法

正直に言いますと、私も親が「あの人の名前、なんだったかしら」とつぶやくたびに、内心どきっとしていました。

まさか認知症の始まりでは、と。

ただ、少し調べてみると、物忘れと認知症の違いを分ける基準は思ったよりはっきりしていました。そして日本には、自治体が無料で行う「もの忘れ検診」 があることも、このとき初めて知ったのです。今日はこの二つを、落ち着いて整理してお伝えします。

はじめにお断りしておきます。この記事は情報提供が目的であり、診断や治療は必ず専門医(脳神経内科・精神科・もの忘れ外来)への相談が必要です。

物忘れと認知症の違いを5つの観点で対照した比較表


物忘れと認知症の違い — 決め手は「体験の一部か、そのものか」

いちばん確実な見分け方は、意外にもシンプルです。

「体験の一部を忘れるのか、体験そのものを忘れるのか」 です。

加齢による物忘れは、たとえば「夕食を食べたことは覚えているが、何を食べたか思い出せない」というもの。周りがヒントを出せば思い出せることが多く、本人にも忘れている自覚があります。一方、認知症による物忘れは「夕食を食べた」という体験そのものを忘れ、「夕食はまだ?」と尋ねてしまう。ヒントがあっても思い出せません。(フランスベッド、国立長寿医療研究センター ほか)

忘れる範囲と、生活への支障

もう一つの手がかりは「範囲」です。

加齢の物忘れは記憶力の低下にとどまります。ですが認知症は、記憶だけでなく判断力・計画力・言語能力・理解力・思考力など、複数の認知機能が同時に低下していきます。だからこそ、日常生活に支障が出るかどうかも大切な目安になるのです。加齢の物忘れは生活に支障をきたしませんが、認知症は日常生活に支障が出ます。

「自覚があるかどうか」というサイン

もう一つ、見落としがちなサインがあります。

本人が「受診したほうがいいかも」と感じているうちは、加齢による物忘れであることが多いのです。逆に、本人には自覚がなく、周囲が先に気づく、あるいは物忘れ以外にも生活の支障が見られる場合は、認知症の恐れを一度考えてみる必要があります。

いずれにしても大切なのは早期発見です。気になる症状があれば、もの忘れ外来やかかりつけ医に相談してみてください。


日本の無料認知症検診は「自治体ごと」に行われます

ここからが、実際に役立つところです。

日本では、実施主体は市区町村(自治体)で、名称も「もの忘れ検診」「もの忘れ予防検診」「認知機能検診/認知症検診」など自治体で異なります。内容は認知機能などを確認する問診(簡易検査)が中心で、費用は無料。相談・支援の窓口は地域包括支援センターです。

⭐ 対象年齢も期間も自治体でまったく違います

ここがいちばん大事な注意点です。対象や期間は自治体ごとに大きく異なります。

自治体 対象・特徴 費用
横浜市 50歳以上で認知症の診断歴がない方(令和8年度) 無料
さいたま市 年度1人1回限り(令和8年度) 無料
日野市 70〜79歳の市内在住者 無料
品川区 70〜75歳を迎える区民など 無料
文京区 55・60・65・70・75歳などの節目年齢 無料

このように、対象は「50歳以上」「70〜79歳」「節目年齢のみ」と自治体で大きく変わり、実施期間も年度単位で更新されます。ですから記事の数値をそのまま当てはめず、必ずお住まいの自治体の最新情報を確認してください

無料もの忘れ検診の流れを4ステップで示したフロー図

申し込みと利用の流れ(一般例)

  • お住まいの市区町村の担当課または地域包括支援センターに問い合わせます。
  • 対象・期間・方法を確認します(対象者に受診券・案内が届く自治体もあります)。
  • 指定医療機関で問診(簡易検査)を受けます。
  • 必要に応じて専門医療機関・精密検査へ進みます。

一次の問診(簡易検査)は無料でも、精密検査や専門医療機関の受診は有料になる場合があります。この点も、お住まいの自治体で確認しておくと安心です。


認知症予防のための脳の活性化

検診で「今」を確認したら、次は毎日の習慣です。

読書とお茶でひと息つく、穏やかな知的活動のひととき
Photo: Dina Nasyrova / Pexels

  • 手指を使う活動: 手や指を使う活動は物忘れの改善に効果があるとされています。
  • 趣味・習い事: 楽しみながら続けられるものを。
  • 日記・読書: 一日を振り返る、本を読むといった知的活動を習慣に。
  • 食事: DHA・EPA(サバ・サンマなど青魚)やカテキン(緑茶)など、認知症予防に効果的とされる食品を、バランスのよい食事の中で。
  • 早期発見: 気になる症状は放置せず、早めに相談を。

最後に、ひとつだけ付け加えさせてください。

物忘れと認知症の違いを知るのは、怖がるためではなく、安心するためです。ヒントで思い出せるか、生活に支障が出ていないか — この二つを落ち着いて見るだけでも、進む方向が見えてきます。それでも心配が残るなら、お住まいの自治体の無料もの忘れ検診を活用してみてください。

早めに確かめること以上に、確かな安心はないのですから。


参考資料: 横浜市・さいたま市・日野市・品川区・文京区・調布市の各公式サイト、国立長寿医療研究センター、フランスベッド・太陽生命・朝日生命の健康コラム。

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