多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のセルフチェックと食事
正直に言いますと、私も昔は「生理が少し不順なくらい、よくあること」と軽く考えていました。
でも、あごのあたりに繰り返しできる化膿性のニキビや、急な体重の増え方が重なってきたとき、ふと「これは肌や食べ過ぎの問題じゃないのかもしれない」と思ったんですね。
その背景にあることがあるのが、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。
先に大切なことをお伝えします。この記事のセルフチェックは、あくまで「疑い」を持って受診につなげるための目安です。確定診断ではありません。気になる点があれば、必ず産婦人科(専門医)を受診してください。
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
まず、PCOSがどんな状態なのかを整理します。
PCOSは、卵巣の中で未成熟な卵胞が同時にたくさん育つ一方で、うまく排卵に至りにくくなるホルモンの病気です。
排卵しにくくなるので、月経不順や無月経、不妊、ニキビ、多毛、肥満などと関連します。
生殖年齢(妊娠可能な年齢)の女性によくみられる、代表的な内分泌(ホルモン)の疾患のひとつなんですね。
どのくらいの人にみられるのか
頻度については、資料によって幅があります。
日本の解説では「20人に1人」とするものがある一方、国際的には「生殖年齢の女性のおよそ5〜10%(10人に1人前後)」と報告されることもあります。
数字に幅はありますが、いずれにしても決して珍しい病気ではない、と考えておくのがよいと思います。

セルフチェック|こんなサインが重なっていませんか
ここが、多くの方がいちばん知りたいところだと思います。
次のようなサインが重なるほど、PCOSの可能性を考える目安になります。
- 生理不順・無月経(排卵しにくいため周期が乱れる)
- あご周りなどにできる化膿性のニキビ
- 急な体重増加(特にお腹まわりの脂肪)
- 多毛(顔・胸・背中などの体毛が濃くなる)
これらは、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を示すサインでもあります。
ただ、くり返しになりますが、これはあくまで「気づき」のためのものです。当てはまるからといって、それだけでPCOSと決まるわけではありません。「当てはまる→受診して相談する」、この流れがいちばん安心です。

インスリン抵抗性との深い関係
PCOSを理解するうえで、外せないキーワードがあります。
インスリン抵抗性です。
インスリン抵抗性とは、血糖を下げるホルモン「インスリン」が効きにくくなっている状態のこと。
PCOSでは、このインスリン抵抗性が病態の中心にあるとされ、報告ではPCOSの約50〜70%にインスリン抵抗性が認められるとされています。
インスリンが効きにくいと、体は血糖を下げようとしてより多くのインスリンを出します。その過剰なインスリンが卵巣に働きかけ、ホルモンバランスをさらに乱す——そんな悪循環が起こりやすいんですね。
だからこそ、次にお話しする「食事」が意味を持ってきます。

食事管理|血糖をゆるやかにする食べ方
食事の考え方は、実はとてもシンプルです。
血糖を急に上げないこと。 これに尽きます。
具体的には、次のような方向です。
- 精製された炭水化物や砂糖を控える(白い精製主食、甘い飲み物、菓子など)
- 血糖の上がり方がゆるやかな複合炭水化物(全粒・野菜・豆類など、食物繊維の多いもの)を中心にする
- 低糖質(低GI)の食事や地中海食のように、血糖の急上昇を抑える食べ方を意識する
- 高食物繊維の食品を多く取り入れる

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そして、食事だけでなく、体重管理と週数回の運動を組み合わせることが、PCOSケアの基礎になります。減量はインスリン抵抗性の改善にもつながるとされています。

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ただ、ここははっきりさせておきたいところです。食事はあくまで土台であって、自己判断の治療の代わりにはなりません。
診断は医療機関で|ロッテルダム基準
「では、どうやって診断するのか」も知っておくと安心です。
診断は、問診(月経周期)、血液検査(ホルモン値)、ニキビや多毛の程度を確かめる診察、そして骨盤(経腟)超音波検査などで行われます。
国際的にはロッテルダム基準が用いられ、次の3項目のうち2つ以上を満たすと診断されます。
- 排卵障害(不規則な排卵、または無排卵)
- 臨床的・生化学的なアンドロゲン過多(多毛・ニキビ、または血液検査での男性ホルモン高値)
- 超音波でみられる卵巣の多嚢胞性変化
こうして見ると、セルフチェックだけでは分からない項目が多いことに気づきます。確定診断は、必ず医療機関で。 ここはどうしても外せない一線です。
[内部リンク: 関連記事 – 生理不順が続くとき、何科に相談するか]
最後に、もう一つだけ。
PCOSと聞くと、不安になる方もいらっしゃると思います。でも、適切な治療と生活の工夫で、症状の管理や妊娠は十分に可能だとされています。
大切なのは、サインを「気のせい」で片づけずに、早めに専門医とつながること。そして、食事や運動という自分でできる土台を、あせらず続けていくこと。
体が出してくれた小さなサインを、責めるのではなく、次の一歩のきっかけにしていただけたらと思います。あなたの体をいちばん正しく見てくれるのは、目の前の産婦人科医ですから。
参考にした情報源
本記事は以下の信頼できる情報をもとに構成しました(詳細はリサーチ資料に基づく)。
- mimiレディースクリニック三越前(PCOSの解説・ロッテルダム基準)
- まきレディスクリニック(PCOSの症状・治療)
- 扇町レディースクリニック(PCOS・多毛症)
- Apollo Hospitals(PCOSとインスリン抵抗性・生活習慣)ほか、複数の婦人科・専門医の解説
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な診断・助言に代わるものではありません。診断・治療は必ず産婦人科の専門医にご相談ください。
