冷え性と生理痛の関係|下腹部を温めて血行を整えるケア

冷え性と生理痛の関係|下腹部を温めて血行を整えるケア

正直に言うと、私は長いあいだ、生理痛と冷え性を「別々のつらさ」だと思っていました。

夏でも手足が氷のように冷たい。生理のたびに下腹部が重く痛む。
そのふたつが実はつながっているなんて、考えたこともなかったんですね。

でも、冷え性と生理痛の関係を調べていくうちに、腑に落ちました。
手足が冷える人は、子宮のまわり(骨盤内)の血行も滞りやすく、そのぶん生理痛が強くなりやすい。冷えと痛みは、地続きだったのです。

先に、いちばん大切なことをお伝えします。
これから紹介する「温めるケア」は、あくまで冷えをやわらげる補助です。
鎮痛剤が効かない、年々痛みがひどくなる——そんな生理痛は、婦人科で診てもらうべき病気が隠れていることがあります。 温めれば大丈夫、と自己判断で片づけないでください。

⚠ この記事は一般的な健康情報の紹介であり、診断や治療の代わりにはなりません。強い生理痛や気になる症状がある方は、自己判断せず必ず婦人科にご相談ください。

冷え→血行不良→プロスタグランジンの滞留・過剰分泌→子宮収縮の増強→生理痛という悪循環を示した図解


なぜ生理痛は起きるのか|プロスタグランジンという物質

まず、痛みの正体から整理させてください。ここが分かると、なぜ「温める」ことが効くのかが見えてきます。

生理が近づくと、それまで分泌されていたプロゲステロンというホルモンが減っていきます。
それが引き金となって、子宮内膜の細胞からプロスタグランジンという物質がつくられます。(京都済生会病院)

このプロスタグランジンには、子宮の筋肉(平滑筋)や血管を収縮させる働きがあります。
子宮をぎゅっと縮めて、経血を押し出すための、いわば「必要な収縮」なんですね。

ところが、この収縮が強すぎると、痛みになります。
しかも、プロスタグランジンはそれ自体が痛みを引き起こす物質でもあります。分泌量が多い人ほど、生理痛は重くなりやすいとされています。(大正健康ナビ、エスエス製薬)

もうひとつ知っておきたいのは、生理中はもともと冷えやすいということ。
生理が始まると体温は生理前より下がり、さらにプロスタグランジンの働きで血管が収縮するため、血行が悪くなりがちなんですね。(大正健康ナビ)


冷え性と生理痛がつながる理由|「冷え→血行不良→痛み」の悪循環

ここからが本題です。冷えは、この痛みをどう悪化させるのでしょうか。

答えはシンプルで、血行です。

体が冷えると血液の循環が悪くなり、痛みの元であるプロスタグランジンが骨盤内で滞ってしまいます。 その結果、痛みが強くなります。(大正健康ナビ)

さらに、逆向きの悪循環もあります。
体が冷えて血流が悪くなると、縮こまった血管を広げようとして、プロスタグランジンが過剰に分泌されてしまうという指摘もあるのです。

つまり「冷え → 血行不良 → プロスタグランジンが滞る・増える → 子宮収縮が強まる → 痛い」。
そして「痛い時期はさらに冷える」。ぐるぐると回る輪のようになっているんですね。

「手足が氷のように冷たい」——いわゆる末端冷えタイプの方は、体のすみずみまで血液が届きにくい状態と説明されます(養命酒製造)。子宮まわりの血行も例外ではありません。だからこそ、冷え対策がそのまま生理痛対策になるわけです。

冷え性には3つのタイプがある

冷え性とひとくちに言っても、原因は人それぞれです。体温調節が自律神経の乱れでうまくいかなくなると冷えが生じるとされ、大きく次の3タイプに分けられます。(養命酒製造)

  • 全身冷えタイプ:体を温めるエネルギー不足で、全身に熱が届かない
  • 末端冷えタイプ:血液が届きにくく、手足の先まで温められない(「手足が氷のよう」はこれに近い)
  • 内臓冷えタイプ:体に水がたまりやすく、水はけが悪い

下腹部を温めて血行を整える3本柱=下半身ストレッチ・温かい飲み物・入浴を示したカード図


対策①|下半身・骨盤まわりのストレッチで血行を促す

冷えの一因は、実は筋肉量の少なさにあります。
筋肉が衰えると基礎代謝が下がり、体が熱をつくりにくくなって冷えやすくなるんですね。

ここでポイントになるのが、体全体の6割以上の筋肉が下半身に集まっているという事実です。(冷え性改善ヨガの解説)
だから、ふくらはぎや太ももといった下半身を動かすと、効率よく熱を生み出せます。

もうひとつ。仙骨(お尻の中央あたり)をゆるめて温めると、内臓につながる神経の働きがよくなり、血流改善だけでなく、下半身のむくみ・倦怠感・肩こり・腰痛の改善も期待できるとされています。(All About)

自宅でできる、やさしいストレッチをいくつか。(養命酒製造)

  • 骨盤体操:足を肩幅に開き、両手で両ひざをつかんで軽く膝を曲げ、腰を落として体をひねる。
  • 足こぎストレッチ:両足を交互に、ゆっくり曲げ伸ばし。左右それぞれ5回ずつ。
  • プルプル体操:仰向けで手と太ももに力を入れ、30秒〜1分ほど小刻みに震わせる。
  • 風船体操:腹式呼吸を5〜20回。

大切なのは、毎日、無理のない範囲で続けることです。
痛みが強い日は、休む勇気も必要なんですね。頑張って悪化させては本末転倒ですから。

明るい窓辺のヨガマットで骨盤まわりをゆるめるストレッチをする様子
Photo: ROMAN ODINTSOV / Pexels


対策②|体を温める飲み物|生姜・白湯

内側から温めるなら、飲み物が手軽です。冷たい飲み物を避けるだけでも、ずいぶん違います。

代表格は、やはり生姜(ショウガ)
生の生姜に多いジンゲロールは、血管を広げて血のめぐりを促し、手足など末梢の冷えに働くとされます。
そして加熱・乾燥させるとショウガオールに変化し、胃腸を刺激して体を内側からじんわり温めます。(マイナビ農業ほか)

  • ここが少し意外なのですが、冷え対策には「生」より加熱・乾燥した生姜(温かい生姜湯など)のほうが、深部を温めるのに向くとされています。

白湯(さゆ)もおすすめです。
水を沸かして50度くらいに冷ましたもので、内臓が温まって消化機能が活性化し、血流もよくなるとされます。(養命酒製造ほか)

なお、よもぎ茶も温活のお茶として親しまれていますが、今回調べた範囲では効果を裏づける医学的な資料は見つかりませんでした。
「温かい飲み物のひとつ」として楽しむぶんにはよいと思いますが、効果を過信はしないでおきたいところです。

スライスした生姜とはちみつ、レモンを添えた温かい生姜湯のフラットレイ
Photo: Towfiqu barbhuiya / Pexels


対策③|入浴で体の芯から温める

シャワーだけで済ませていませんか。
冷え対策には、湯船で体の芯まで温めるのが有効です。

よく知られるのが半身浴
38〜40度のお湯に20〜30分ほど、みぞおちから下を浸かります。
全身浴より水圧が半分で体への負担が少なく、のぼせにくいので長く浸かりやすいのが利点です。血液が温められて全身をめぐり、体温が上がって血行が促されるとされています。ぬるめの湯は副交感神経を優位にして、リラックス効果も期待できます。(花王 ヘルスケアナビ)

ただ、ここは意見が分かれるところでもあります。
「疲れをとって体を温めるには、むしろ40度の全身浴のほうが効く」という報道もあるのです(日本経済新聞)。
どちらが正解というより、自分の体調やのぼせやすさに合わせて選ぶのがよさそうですね。のぼせやすい方は半身浴を、しっかり温まりたい日は全身浴を、というように。

明るい浴室でバスタブのふちにたたんだ白いタオルを置いた、入浴で温まる情景
Photo: Castorly Stock / Pexels


温めるケアで終わらせないで|婦人科を受診する目安

ここまで「温める」話をしてきましたが、最後にどうしても伝えたいことがあります。

温めるセルフケアは、あくまで補助です。 治療の代わりにはなりません。

次のような場合は、痛みの裏に病気が隠れている可能性があります。ためらわず婦人科を受診してください。

  • 市販の鎮痛剤が効かない、または効きが悪くなってきた
  • 痛みが年々強くなる、だんだん増してくる
  • 生理痛がひどく、学校や会社をよく休む/いつも鎮痛剤が必要

こうした痛みの背景には、子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫などによる「器質性月経困難症」があることがあります。(京都済生会病院、日本産婦人科医会)

機能性(病気のない生理痛)と器質性(病気による生理痛)は、経過に違いがあります。

機能性月経困難症 器質性月経困難症
原因 病気なし(プロスタグランジン過剰など) 子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫など
好発 初経から3年以内・15〜25歳ごろ 初経から5年以上・30歳以上
経過 分娩後に改善することが多い 年齢とともに徐々に悪化・不変

見逃したくない理由があります。
月経困難症のある人は、将来の子宮内膜症の罹患率が高いとされ、いったん子宮内膜症になるとその30〜50%が不妊になるという報告もあるのです。
「毎月のことだから」と我慢してきた痛みが、早めに受診することで守れるものがある——そう考えると、受診は決して大げさなことではないんですね。

こんな生理痛は婦人科へ=鎮痛剤が効かない・年々悪化・休むほどつらい、を並べた受診の目安チェックリスト

[内部リンク: 関連記事 – 更年期の症状と対処法]


冷え性と生理痛のことを調べていて、私がいちばんほっとしたのは、「冷えは工夫できる」と分かったことでした。

手足が冷たいのは体質だから仕方ない、と諦めていました。
でも、下半身を動かし、温かいものを飲み、湯船につかる。そんな地味なことの積み重ねで、骨盤内の血行はゆっくり変わっていくのだと知りました。

最後に、もう一度だけ。
温めるケアを続けても、つらい痛みが変わらないなら、それは体からのサインかもしれません。
どうか「毎月のことだから」で終わらせず、一度、婦人科の扉を叩いてみてください。

つらさの理由を知ることが、そのつらさとうまく付き合っていく、いちばんの近道になりますから。


参考資料

  • 京都済生会病院「生理痛(月経困難症)」
  • 日本産婦人科医会(JAOG)「月経困難症」
  • 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)「月経困難症」
  • 大正健康ナビ(大正製薬)「生理痛|原因・症状・対策・予防法」
  • 養命酒製造「冷え性改善におすすめのストレッチ」「体を温める飲み物」
  • 花王 ヘルスケアナビ「半身浴にはどんな効果がある?」

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療を勧めるものではありません。症状の判断・治療については、必ず医師にご相談ください。

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