腟炎の種類別|症状の違いと予防の生活習慣
正直に申し上げますと、この話題は、なかなか人に相談しづらいものだと思います。
私自身、おりものの変化に気づいたとき、「気のせいかな」と、しばらく様子を見てしまいました。
でも、あとで振り返ると、体はちゃんとサインを出してくれていたんですね。
腟炎は、多くの女性が経験しうる、決して珍しくない不調です。大切なのは、恥ずかしがって見て見ぬふりをするより、種類ごとの違いを知っておくこと。そして、いざというときに、ためらわず受診できることだと思います。
この記事では、代表的な腟炎の種類別の症状の違いと、予防のための生活習慣を、産婦人科などの情報をもとにまとめました。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。症状は似ていて、自己判断での見分けは難しいものです。気になる症状が続くときは、必ず婦人科(産婦人科)を受診してください。
まず知っておきたい、3つの種類
代表的な腟炎・腟症には、性器カンジダ症・細菌性腟症・腟トリコモナス症の3つがあります。
いずれも、主な症状は「おりもの(帯下)の異常」です。
おりものの色や性状、においには、種類ごとにある程度の傾向があります。まずは、その違いを表で見てみましょう。

カンジダ腟炎 ― 白く、ポロポロ、強いかゆみ
もっとも耳にすることが多いかもしれません。
もともと体にいるカンジダ(真菌)が、体調不良や疲れ、抗生物質、妊娠などをきっかけに増えて起こります。
- おりもの:白く、粥状・酒粕状(ポロポロ、ヨーグルトのよう)。
- 症状:外陰部や腟の強いかゆみ、おりものの増加。
細菌性腟症 ― 生臭いにおいがサイン
こちらは、腟の中の善玉菌(乳酸菌)が減って、細菌のバランスが乱れた状態です。
- おりもの:灰白色〜黄色で、サラサラと増える。
- におい:魚が腐ったような、生臭いにおいが特徴的。
- かゆみは、軽い、または目立たないこともあります。
においが手がかりになりやすいタイプなんですね。
トリコモナス腟炎 ― 泡状・黄緑・強い悪臭
トリコモナスという原虫の感染で起こり、性感染が主な経路です。
- おりもの:泡状で黄緑色。
- におい:強い悪臭を伴う。
- 症状:激しいかゆみ、外陰部のヒリヒリ・赤み、排尿時の痛みなど。
「似ているから、自己判断は難しい」んです
ここで、正直にお伝えしておきたいことがあります。
表にすると違いがはっきりして見えますが、実際には、3つの症状はとても似ています。
かゆみもおりものも重なる部分が多く、自分で「これはカンジダ」「これは細菌性」と見分けるのは、なかなか難しいんですね。
しかも、種類によって使う薬(抗真菌薬・抗菌薬・抗原虫薬)がまったく違います。
だからこそ、判別は検査が確実なんです。市販のカンジダ用薬は、過去に医師の診断を受けた再発のときなど、限られた場面で使うもの。初めての症状や、見分けがつかないときは、受診をおすすめします。
腟には「自分で守る力」が備わっています
予防の話に入る前に、知っておいてほしい仕組みがあります。
健康な腟の中には、デーデルライン桿菌という乳酸菌の一種がすんでいます。
この菌が、腟の中をpH3.8〜4.5の弱い酸性に保ってくれているんですね。
この酸性の環境が、雑菌が増えるのを防いでいます。これを「自浄作用」と呼びます。

細菌性腟症は、まさにこの善玉菌が減ってしまうことで起こります。
つまり、予防の土台は「腟の乳酸菌を守ること」。ここを覚えておいてください。
予防の生活習慣 ― 洗いすぎに、いちばん注意
守るべき善玉菌がいる、とわかると、日々のケアの見方が変わります。
じつは、腟炎予防でいちばん気をつけたいのは、「不潔」よりも「洗いすぎ」なんです。

Photo: Ron Lach / Pexels
洗うのは「外陰部だけ・1日1回・やさしく」
- 腟の中は洗わない。腟内まで強く洗うと、大切なデーデルライン桿菌まで洗い流してしまい、自浄作用が弱まります。
- 頻度は1日1回、入浴時で十分。何度も洗いすぎると、皮膚のバリア機能が失われてトラブルのもとに。
- お湯はぬるま湯で。熱いお湯は刺激になり、必要な皮脂まで落としてしまいます。
- 洗う方向は前から後ろへ。肛門側の雑菌が性器に移らないようにするためです。
- ビデは便利ですが、使いすぎると乾燥のもと。弱水圧・短時間にとどめ、腟内の洗浄は避けます。
下着は「綿・ゆったり」を選ぶ
- 締め付けの強い下着は避け、綿など、皮膚にやさしい素材でゆったりしたものを選びます。通気性を保って、ムレを防ぐためです。
- 疲れや睡眠不足で免疫が落ちると、カンジダは起きやすくなります。生活リズムを整えることも、立派な予防のひとつです。

受診の目安 ― 迷ったら、婦人科へ
最後に、いちばんお伝えしたいことです。
おりものは、月経の周期でも変化します。正常なおりものもあり、「異常かどうか」の線引きは、やはり自分では難しいものなんですね。
だからこそ、次のようなときは、ためらわず婦人科(産婦人科)を受診してください。
- おりものの色・におい・量の変化が続くとき。
- 強いかゆみ・痛み・ヒリヒリがあるとき。
- 症状をくり返すとき。
- 妊娠中に気になる症状があるとき(細菌性腟症は妊娠中はとくに大切です)。

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[内部リンク: 関連記事 – おりものの変化でわかる体のサイン]
相談しづらい話題だからこそ、正しく知っておくことが、いちばんの安心につながるのだと思います。
私も、あのとき様子を見すぎずに、もっと早く「体のサインだ」と受け止めていればと、少し思います。
恥ずかしいことでは、まったくありません。
自分の体を大切にする一歩として、気になったら、どうか気軽に婦人科の扉を叩いてみてください。あなたの体のことをいちばんよく守れるのは、あなた自身なのですから。
参考にした情報源
本記事は以下の信頼できる情報をもとに構成しました(詳細はリサーチ資料に基づく)。
- 冬城産婦人科医院「腟炎の治療法 〜細菌性腟症・カンジダ腟炎・トリコモナス腟炎〜」
- 海老根ウィメンズクリニック「トリコモナス腟炎とは?」
- わかもと製薬 wakanote「デリケートゾーンの洗い方・頻度」
- 持田ヘルスケア「デリケートゾーンの悩みと洗い方」ほか
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断・助言に代わるものではありません。症状の種類の判別や治療には検査が必要です。気になる症状が続く・強い・くり返す場合や妊娠中は、必ず婦人科(産婦人科)を受診してください。
